「伊藤裕 ジェットコースターと富士山」が行われます。
アノニム・ギャラリーでの 個展は、小森谷章さん、納田裕加さん、
足立暁子さんと横山明子さんの2人展に続き、4回目となります。
伊藤裕さんのステンドグラスの作品は、既定の枠にとらわれず、
自由な発想の元に制作されています。色とりどりのガラスが組み合わさった
作品達は、思い思いの色や形をつなぎ合わせて、彼の〝その時"の瞬間が
表現されています。
太陽の家に来てから20年間ずっとステンドグラス作りを行っています。
初めの頃は、みんなで流れ作業的に既定のデザインの作品を作っていました。
伊藤さんはガラスに巻くテープを擦ったり、ガラスピースに縁取りのハンダをしたり…。
仕事には集中するものの、すぐに飽きてしまい「ステンドつまらない」ということも
ありました。
しかし、10年程前から既定のデザインの製作から、自分たちで作りたい作品、
自分の作品を作るようになり、伊藤さんの思いが爆発しました。
作りたい作品を作る楽しさを知り、どんどんとオリジナルのステンド作品を生み出しています。
今回のタイトルにもある「ジェットコースターと富士山」。
実は、伊藤さんはジェットコースターが大の苦手で、山登りももうやりたくない
と言っています。けれど、自分の経験したことの中でインパクトが強いからこそ
作品として生み出されているのかもしれません。
ダイナミックな作品はもちろん、お部屋に飾ると素敵な小物も販売しております。
ぜひ、古民家を改装した温もりあるギャラリーでお楽しみください。
6月13日(土)には、ワークショップを開催します。
ワークショップには伊藤さん本人が来て、一緒にステンドグラスで写真立てを作ります。
予約制となっていますが、まだ受け付けています。ステンドグラスに興味のある方、
伊藤さんに会ってみたい方、ぜひアノニムギャラリーまでご連絡ください。
『伊藤裕 ジェットコースターと富士山』
2015年5月29日(金)-6月23日(火)
10:00-18:00(最終日は12:00まで) 水・木曜休み
6/12は夜営業のため17:00-21:00のみopen
イベント
伊藤さんの写真たて作りワークショップ
日程 6月13日(土) 12:00-15:00
参加費 4800円
定員 6名・要予約(アノニム0266-75-1658)
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「螺旋形の祝福」 伊藤裕のステンドグラスに寄せて
伊藤裕の作品はステンドグラスというよりステンドの技法を使った立体作品・オブジェと呼んでいいでしょう。ステンドグラスの技法の通常の約束事を無視しながら、生まれる作品は巨大なスケール感があり、見る人が小人になってオブジェの中に誘い込まれてしまうような誘惑に駆られます。
ぐるぐる旋回しながらどこまでも飛翔し移動していきたい伊藤の夢と欲求がジェットコースターとなって羽ばたいていっているようです。ステンドグラスに光を通すとそんな伊藤の夢が美しさとなって現前され神秘的な空間を作り出すのです。遡って考えるとステンドグラスの始まりはキリスト教の教会で神様の存在を感じるためにありました。フランスの画家ジョルジュ・ルオーは画家になる前はステンドグラスの職人でしたが、彼の絵画の秘密は信仰とステンドグラスの色彩によって導かれました。そしてその色彩の美しさと深さは生きることの祝福に通じています。伊藤裕のステンドグラスもルオー同様に生きていることへの祝福と祈りによって導かれ、生まれているのではないかといつも感じています。
美術家・アートディレクター 中津川浩章
(伊藤裕 作品集より)